お針子 作業部屋

  帰国したお針子です

とある俳優の言葉からの徒然

とある俳優の残した言葉から、日本人の想像するアメリカがどういうものかを考えてみた。

都会的なアメリカを想像するヒトもいるだろうし、「大草原の小さな家」のイメージから脱却できないヒトも一定数いる気がする。
人種のるつぼとはよく言ったもので(今も言うのか?)、田舎だろうが都会だろうが、言語や肌の色が同じではない人々が混ざり合って暮らしている。

情報としてはずっと以前から知っていたコトなのだけれど、いざ自分が其処に混じると、想像以上にいろんな意味でショッキング。

いまやカリフォルニア州での人口に見る人種比率として白人種は六割を下回り、家庭での言語としての英語比率は45%を切ったらしい。
https://www.newshonyaku.com/usa/poll/2017102602

ワタシの英語習得のピッチが上がらない最大の原因は、家庭内で毎日母語を喋っているからだ。
言語が違うと意思疎通がままならず、軋轢を生むことは大いにある。

来たばかりの頃、スーパーで買い物をしていると学生らしき女の子2人組からアンケートに協力してくれと言われたコトがある。
「ごめん。ワタシは英語のレベルは低いんで」と断ったつもりだったが女の子の一人は
「OK、じゃこれなら?」とスパニッシュに言い換えてきた。

どっからどうみてもアジアン中年女のワタクシ。
どの辺にスパニッシュを嗅ぎ取ったのか全くわからないが、現在のアメリカ国内で最も多く使われる第二言語なので、彼女らに罪はない。
しょうがないので「ごめん、日本人なんや」と英語もスペイン語もできない理由を言ったら、「OKOK!」とにこやかに立ち去った。
(女の子の組み合わせは黒人と白人の二人だった)


アメリカ中西部の田舎に住んでいるので、肌の色で人種を分けるとすると、ココは白人が多い地域。
http://us-ranking.jpn.org/SF1P0030002PerP-Michigan.html
ただでさえ寒い中西部の中でも、チョロっと調べてみると特に寒い地域には統計として白人種が多い。
*1



そもそもが移民国家からの始まりである「人種のるつぼ」アメリカ大陸なので、他人との距離の取り方縮め方が絶妙。一方でレイシズムは非難され制裁される。


1月末に、ムスメのハイスクールで褐色のファンデーションを塗ってふざけていた白人のシニア学生が処分を受けた。
そしてそれは地元のテレビで放送されちゃうくらいの大事件で、全校の緊急保護者会が開かれるくらいの大ごとだった。
あと数か月で卒業だったのに・・・。
(出校停止で更生プログラムが準備されたらしい。今年度のクラスには戻れず、単位不足。留年を選択するか、高校卒業を断念するか。実質的な退学処分に近い)

ダウンタウンの年末恒例の番組で、浜ちゃんがエディーマーフィに扮して非難が相次いだニュースを目にしたが、あれをオマージュやリスペクトだと言っているようではアカンってコトかー、とワタクシ自身が再認識した。

1年と9か月住んでいるが、表面的に見ても付き合いを深めても、ワタクシの周りに人種差別者はいない。
言葉が通じてないので、それらしきコトを言われていたとしても気が付かないだけかもしれないが。
おそらく幼い頃から人種差別を始めとした様々な偏見ついての学習がなされていて、日本人の思うガイジンの範疇は反社会的な思想として撤廃されていると思われる。

島国で生まれ育ったワタクシ達は想像以上に鈍感であり、日本人の差別と偏見の認識の甘さは、脇が甘いと言われてもしょうがない。





一方、昨年末に行ってきたシカゴ美術館での展示の一部として、1800年代のアメリカンアートあり、ココでは近世のインディアン迫害の歴史を絵や物品から見ることができる。

白人にとって、原住民は野蛮で獰猛な悪者でなければならなかった。
そうでなければただの簒奪者になってしまうのだから。

馬上で銃を構え、原住民に狙いを定める白人の姿を描かれた物は多数ある。(かなり生々しい)
全ての注釈を読んだ(読めた)ワケではないが、繰り広げられた戦いの歴史はどちらかを悪く言う内容ではない。
事実はどうであれ、原住民が白人に駆逐されたと言うのは間違いのない歴史。


また、ムスメがHistoryの授業で世界大戦を学んだ際に少々居づらい思いをしたらしいが、戦時中の日本人収容所についても学んだらしく、残虐非道の帝国主義民族と言う風な一方的な悪とされるコトもなかったようだ。
校内でただ一人の日本人の為に、わざわざそのようにレクチャーしているとも思えない。
(ただし、軍国主義者として東条英機ドイツ帝国の独裁者とされる人物と並んで紹介され、名前の読み方に間違いがないかの同意を求められたらしい)

日本人は主義主張は控えめで、日本は友好国であるけれど、かつての敵国であるコトは歴史上の事実。




人種の優位性は、この先も絶対に無くならない(と思われる)。
アメリカ建国自体は1776年でも、白人種の血筋は歴史があるってコトを忘れてはいけない。
しかしながらソレを言葉に出して許されるほど甘い社会でもないらしい。
例え子どもの冗談であっても「反社会的な行動である」と断罪される。


ニューカマーのアジアンであるが故に、英語を話せないというコトはリスク以外のナニモノでもないので、なんとか英語を習得できれば・・・と思ってはいるけどカチコチ脳みそで言語習得の道は遠い。(ムスメの英語力は既にはるか上を行っている)

コレでアメリカの差別とか偏見に物申すとか、片腹痛いわっ!って切って捨てないアメリカ人の懐の深さに感謝するばかりなんである。



「陰険な日本人などの演技は馬鹿馬鹿しい」マーロン・ブランドは40年以上前からハリウッドの人種差別を訴えていた
https://www.huffingtonpost.jp/2016/02/05/marlon-brando-1973-oscars-hollywood-boycott_n_9172570.html

*1:アメリカより緯度の高いカナダにはドンドン移民が入っているので、白人種が特別寒さに強いとか言うわけでもないと思われるが、この中西部がフランス領→イギリス領→アメリカと変遷し、州の最も北部で最後までイギリス領としてイギリス人が粘ったとのことで、白人種の多い理由の一つでしょう。