お針子 作業部屋

  帰国したお針子です

ココは井戸。王様の耳はロバの耳・・・

ココは井戸シリーズ、第二回目

昨年の7月に渡米して、早半年が過ぎた。
アメリカの住宅と言うのは、なぜこんなに壁が薄くチープなのだろうかと悩む半年でもあった。

親子三人の生活なので部屋数はそんなに必要ではない。
今のコンドミニアムの間取りは3LDKで、各部屋に2畳程度のクローゼットがある。
あとは2つのバスルームと洗濯室、車2台分のガレージ。
手狭で設備は多少古いが、掃除も楽だし最低限の希望が揃っているのだ。

我が家はアパートタイプなので、階下の住人と何度か揉めたのが悩みの原因なのだが、
真冬に引っ越して雪掻きに追われるの嫌さに、結局冬の間はソロリソロリと生活をした。

誰かが日本から来た時用に少しくらいは空間に余裕は必要だけれど、ここ数か月は何の問題もない。
(階下の住人の突撃が恐ろしくて、現地の友人ですら誰も呼べないので)

コンドミニアムは様々な管理が付いていて、雪掻きや芝刈りはお家賃に含まれているため、
無精者の我が家には最適なのだ。


以前にも書いたが他州の話で、オットの会社のヒトが一軒家を借りていた際、
芝生の手入れを怠り枯らしてしまった。
ホントかウソか知らないが、法律で決まってるらしい。
で、その家の芝は「日本人が枯らした!」と非難されて大変だったらしい。

その経緯から、その支社ではランドキーパー代が補助されるコトとなった。



ちなみにココはそこと同じく中西部ではある。

単身赴任者を除く他の駐在家庭は、基本的に一軒家か一軒家タイプのタウンハウスに住んでおられて
家族帯同なのにアパートタイプのコンドミニアムは我が家だけ。
家賃の相場は場所にもよるので一概に言えないが、雪掻きをランドキーパーに頼んだ場合の相場は、
ワンシーズンで4〜500ドルのようだ。
(何cm積もったら出動します、と言う契約らしい)

だから雪の多い年はお得感があるが、今年の様にドカッと積もっては融けを繰り返す冬は、 お得感の薄い年だったと言える。



冬の間の備えをしすぎてリスには見えないリス。きっと歩くとドスドスいう。



時間を遡る。


「部屋でエクササイズでもしてるのか?!」とジェイソン嫁に突撃されたのは9月。

現地の生活に少し慣れたとはいえ、学校生活が始まったばかりムスメは英語にまみれて心身共に疲れ切り
毎日毎日部屋に籠って現実逃避の為に日本の動画を見ようとしていたあの頃。

今思うと海外引っ越しの船便が到着し、荷ほどき作業と重なるので恐らくその一連の騒音が原因だと思う。
苦情で第一回目の突撃をされたのは荷物が届いてから10日ほどたった夜。
週末にIKEAで家具を購入していて、突撃の前日には工具を使って組み立てていた。
それが響いたのかと、心当りがあった為にまず最初に謝ったのがマズかったらしい。

管理会社にも苦情が入ったらしく、管理会社からもメールで何度か注意を受けた。

ジェイソン家の怒りは一度で済まず、何度かの突撃のあと
「お互いの家で騒音を確認しましょう!」まで発展したのであった。
ジェイソン嫁は我が家初の(望まれざる)客となった・・・



当日はハングアウトで一階と二階を繋いで中継状態で実験。
その際に、ワタシが一階のジェイソン家にお邪魔する形で足音実験に立ち会ったのだが、
普段なら猫のように静かに歩くオットが、踵落としでドスドス歩いて見せた時「Loud!」
ジェイソン夫が天井を見て言った。

確かにその音はうるさかったが、家族の誰もがその様にドスドスと歩いていないのは明白で。
ワタシの英語力で「普段はこんな歩き方していない」と言えるハズもなく。
最初に謝ってるので、そもそもすべてが上から目線なのだ。

こっちの生活環境は悪くすると訴訟に発展するコトもあるので、最終的に、
この家を紹介してくれた現地のコーディネーターさんに管理会社との間に入ってもらい、事なきを得たが
「ちょっとうるさく言いたいヒト達みたい。運が悪かった」と慰められた。


7月初旬から家族で住んでいて、それ以前にそんな苦情は言われたコトはなかったし、
9月に騒音実験をしてからも足音については言ってこない。
きっと「心を入れ替えて静かに歩くようになった」とか思っているんだろう。HAHAHAHA



そうして一層ソロリソロリと歩く生活も11月末頃。
再びジェイソン嫁の突撃を受けた。

帰宅するオットを迎え撃つジェイソン嫁。
「玄関ポーチの灯がブラインドの隙間から入ってきて、まぶしくて子どもが寝られない!」
だそうで。
時間は20時を少し回った頃。

こちらのお子さんの居る家庭は総じて夜の早いお宅が多い。
ソレはご迷惑をおかけしました、と玄関灯を消すオット。


実は普段帰宅する時にはガレージに車を入れて、そのままガレージ内ドアから屋内に入ることが多く
その日はたまたま誤って玄関灯を点けていただけだったのだが、そもそも備え付けの照明で、
鬼の首でも取ったかのように突撃されるとは想像もつかず。

後はただ、脱力するこっとん家。

いくら雪掻きや芝刈り込みの金額だとは言え、我が家の間取りで○○○○ドルと言うと
「うそっ!高っ!!」と言われるのだ・・・
しかも階下には厚切りジェイソン似の一家付きだ。
もはや事故物件だろう、コレは。


ただ、ムスメの今後を考えると、もしかして来年度中に帰国するかもしれない。
そうなると引っ越しは早計かも知れないと思いとどまる。

アメリカにおけるG9の終わりにどれくらい英語での授業が理解できるようになるかがキモで
G10で選択できる授業数がG11以降に響くとムスメに知らせる。
ムスメの希望により渡米したが、力が及ばない場合、帰国止む無しというコトだと。
可哀想な現実ではあるが、ムスメは自分が追い込まれていることを楽観的に考えすぎていると。

それでも彼女は帰りたくないという。
「では頑張って見せてみろ!」と言うしかない。


かくして、2月。
「そうだ、引っ越ししよう」の熱、再びなのである。


久々に会った現地コーディネーターさんに11月の苦情の件をオットが伝えた。
「OH...」
と眉をしかめ、なにそれ〜!という反応だったそうだ。


今年は去年に引き続き暖冬だったそうで、もうずいぶん温かくなってきている。
10℃を超える日も多く、気の早いヒトは半袖やキャミソールで出歩いたりしている。

以前にも書いたが、ジェイソン宅のドアの開け閉めは震度2〜3くらいの勢いだ。
「どぉぉぉ〜ん」と閉めるたび、ドア直上の壁と床が本気で揺れる。

ジェイソン家のお嬢さん達は早寝早起きで元気だから、暖かい季節になってくると外遊びも激しい。
お買い物のお出かけ、飼い犬の散歩、仕事帰り等など、毎日決まった時刻に震度2〜3。

たぶん、自分ちは迷惑なんかかけてないと思い込んでいるのかもしれないが、
言わないのは感じてないのと同じと解釈する「発してこそ意見」の文化に
お互い様を察する文化が上手く混ざれば無敵なんだろうに、と思わずにいられない。



そうそう、今回赴任してくるご家族に家を探す際の条件が設けられたそうだ。
「2人以上の家族帯同の場合、アパートタイプは選択肢から外すように」


・・・どうもウチが原因らしい。HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA