お針子 作業部屋

  帰国したお針子です

年末持ち越した頼まれモノ

昨年の12/24にドレスのサイズ直しの依頼があった。

1/12日のコンサートで着用なので、出来るだけ早く丈詰をして欲しいとのコト。

年末年始は子供も冬休みで、掃除したり料理したりとただでさえ忙しい。

我が家も年末に3泊4日でのシカゴ旅行と年始のスキー旅行を控えている為、実質作業できるのは4日くらい。

学校の始まる前(6日まで)には仕上げますと言ったものの、実物を見てもいない状態で何日に上がるとは言いにくい。

24日の午後、採寸を済ませて引き取り。 ふわふわジョーゼットがレイヤーになっているデザイン。

三つ折りの裾始末を出来るミシン押さえが無いので手縫いも考えたが、思案した末にウエスト切り替えで調節するコトにした。

コンシールファスナーを解いて、ウエスト切り替えでスカート部分と上半身を分離し、スカートのみで丈を9センチ詰める。

胴接ぎの部分は緩やかなVカットなので、紙にカーブを写し取り スカートの縫い合わせ位置に転写させる。

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5日に仕上がり、6日にはドレスを試着し「ぴったり!」と喜んでくれた。

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布を触る仕事をして、気が付けばもうすぐ30年。

布で初めて何かを作ったのは4~5歳くらいの時で、身長10センチくらいのお人形さんの服だったことを覚えている。

長方形の布の中央に切り目を入れ、人形の頭を通す貫頭衣スタイル。

 

あの貫頭衣を作った時に手にする職は決まっていたのかもしれぬと思う。

最終的に和裁を選択したが、洋裁の知識は和裁に生きるし、和裁の技は洋裁にも必要だ。

職業として誰かの望み通りに何かを生み出す。その工程にシビれる。

「あのヒトにお願いしたい」と受注できるコトに感謝する。

 

アメリカに来て「赴任の奥さん達ってどなたも器用でびっくりする!」と何度となく耳にする。

言葉を自由に操るあなた達の方がスゴイデス。

言葉の壁を乗り越えるために何かと頼りにしてしまうので、できるコトならなんでも引き受けるようにしている。

そしてそうするのはワタシだけじゃない。

 

ウチには家庭用ミシンしかなく、あんまり専門的なモノは直せないことも大いにあるのでその辺はご容赦くださいと断りを入れることもあるが、手持ちの材料でやれることならば。

着物に関するコトは依頼自体がほぼなく、壊れたバッグの修理やズボンの裾上げ、破れたジャケットの補修にサイズ直しまで。

「ただし、本職は和裁士なので洋裁の知識は学校を卒業した程度で素人です」 と言い添えて。

 

赴任で来たヒト達は、現地在住者の日常生活をかき乱す。

数年間だけの付き合いになるかもしれないので、嫌なら付き合わない選択肢もあると思うが、どのヒトも親身になってくださる。

そんなふうなアナタ方だからこそ、ワタシ達は実力以上に頑張ろうとしてるのかもしれない。