お針子 作業部屋

  帰国したお針子です

ようやく終了。

留袖のお直しを納品した。
ぶっちゃけた話、直しはワリに合わない直しと、楽勝な直しがある。
今回のは全くワリに合わない直しだった。

縮緬系の布地は よく詰まる(布地が縮む)ので、昔の留袖なんかで比翼が出てるのを
よく見かける。
コレは、比翼や胴裏が交織やポリエステル生地なんかで作られてる場合に多いのだけれど
正絹の表だけが詰まり、比翼や裏は全く詰らないので そうなってしまう。
書くのは簡単なんだけど、お直しする部分はほぼ全般にわたるので、ハッキリ言って
洗い張りして欲しい部類に入るお直しだったりする。
や、言わないけどね。密かによ、密かに。

今回のは、身頃全体のつりあい直し、袖丈直し、裄直し、新しい比翼の作り付け。
ずいぶん詰まっていてアチコチで生地がくるってるし、全然違う仕立て*1なので
いつもの調子では直せない。
調整しつつの直しは、手間と時間がかかるし普通の仕立てよりも神経を使う。

正直な話、これだけやっても満額の仕立て代はもらえない。*2
電化製品の修理は買った値段よりも高かったりしても不思議じゃないけど、
仕立ては一枚の満額を超えることは許されないって、変な規定だと思う。
で、本来なら上限は満額に設定して時間いくらで貰うのだけど、
仕事以外がやたらと忙しかったり休みがちだったりすると
正確な金額なんてもらえないし、それをお客さんに回せない。
もともと破格の低価格なんだけど、この業界は中間マージンが激しいので
いくらお客さんに請求が行くのかと思うと恐ろしくて。

ま、ワタクシの場合、あくまで趣味の和裁士。(にしては、死にそうに追い込まれてるけど)
直してまで着用したいと思っていただけるのだから、趣味の和裁士の一肌くらい
なんでもないわ〜!と、見た目通りの太っ腹。
お客さんに伝わればイイなぁ。

*1:解かないとわからない部分も多い

*2:おそらく諭吉と一葉がお茶を飲むくらい