洗い張りの難しいトコロ。
今回の洗い張りは振袖。
振袖は、一般的には柄物です。(一時期、無地のモノも流行った)
今回のコレも、背・脇・衽・袖はもちろん全部柄合わせが有り
地衿・掛け衿にも柄合わせがあります。
裏は共八掛けもぼかし程度ですが合わせます。
着物の部位の名称説明はさくっと省きますが、
上前下前の両方の衽下がりの辺り(胸の上。身頃側剣先の上)と衿に柄合わせがあるモノがあります。
パーツごとの柄が合えば合うほど、寸法的な縛りが増えるのですが
中でも、掛け衿の上前と下前の両方に柄合わせのあるモノは、
肩明きを切ってしまうと後で調整をするのは、ほぼ不可能です。
この柄付けの場合、衿肩明の位置は自分で操作できません。
染めの段階で切るトコロが決まっているのです。
*1
繰越の量(衿を抜く着方)はヒトによって好みがあるので、
鋏を入れる位置と微調整で一分(4㎜程度)くらいをチマチマ悩むのです。
*2
全ての和裁士は、鋏を入れる前に全ての柄を何度も確認してから、
ようやく鋏を入れるのです。
ソレでも間違ってしまうコトもありますが、鋏を入れてしまうと戻れませんので
後は何とかして誤魔化すしかありません。
幸いにして自分ではこのミスはやったコトが無いのですが
修業時代に、間違って鋏入れた後始末を何度か目撃しました。
近頃の洗い張りで多いのは、ワタクシ達が二十の頃の振袖の洗い張りです。
もちろんもっと前のモノもあるのですが、
そのくらいのモノが質・柄の両方で使えるものが多いように思います。
バブリー時代なのでで良質のモノが高額で出回ったってコトなんでしょう。
それより少し前になると古典的な四君子等、吉祥柄の良品は別ですが、
柄が微妙に古臭さくてアンティークとも呼べないカンジと申しましょうか。
長々と書きましたが・・・
どなたかの冷や汗の賜物が先日来、立て続けに我が家に参ります。
声を大にして言いたい!
「衿の柄あわねーよ!!繰越の位置 五分違ってるよ!!!」
「犯人はワタシじゃありませんからーー!!」
と言うか、すんごい無理繰り斜めに付けて、柄を無かったモノにしてる・・・
さてどうしよう・・・
上手くできますように。